ケース別転職ノウハウ

営業職はキャリアパスをどう描く?キャリア例や有効な資格をご紹介!

営業職が歩めるキャリアは幅広く、さまざまな業種や職種、立場に「元営業」の人はたくさんいます。
一方、選択肢が多いからこそ、日々の業務をこなしながら明確なキャリアパスを描くのは、なかなか難しいと感じる人もいるのではないでしょうか。
そこで、今回は営業職のキャリアパスの描き方について説明します。ぜひこれからの自分を考える際に参考にしてください。

1.営業のマネジメント・管理職へ

営業職でキャリアアップと聞いて、同じ会社の営業の管理職やマネージャーという役職を思い浮かべる方もいると思います。

ここでは、その営業の管理職やマネージャーに求められる責任やスキルなどについて紹介します。

 

1-1現場(営業)との違い

多くの会社において、営業部長や課長、営業所の所長といった営業部門の管理職には、営業スタッフとして会社から高い評価を得た人が就くことが一般的です。

また、管理職と現場の営業スタッフでは求められるスキルが異なる点が多いため、たとえ営業スタッフとして好成績を出していた人であっても、管理職として必ずしも活躍できるというわけではありません。

 

集団を束ねる役割の管理職に求められるのは、メンバーを率いてチームで結果を出すことです。

そのため、管理職に求められる重要な能力の一つは、チームメンバーを統率する「マネジメント(管理)能力」です。

このように、これまで営業現場で求められていたスキルと、管理職に求められるスキルは異なる点があることを認識しておきましょう。

 

1-2営業として昇進するプロセス

営業の管理職への一般的な昇進プロセスは、まず現場の営業スタッフから営業マネージャー、営業課長といったポジションに昇進し、次に営業部長、営業役員など、組織内の営業畑で昇進していくコースがあります。

ただし、会社のポストには限りがあり、空いている椅子に座るための競争が発生することもあります。もし競争に負けてしまったら、自分が思い描いていたキャリアとは違う道に進まざるをえないこともあるでしょう。

社内の出世争いに勝つためには、営業スタッフの時点で優れた実績を残すなど、周囲の評価を上げることが重要です。

 

1-3求められる能力

先ほど、営業の管理職にはマネジメント能力が必要と紹介しました。それではマネジメント能力とは具体的にどのような力なのでしょうか。

ここでは、大きく3つに分けて以下でご紹介します。

 

まず、管理職には「統括する部門や課、チームの業績目標を達成する」という責任が発生します。

どのような業務にも課題はつきもので、その課題を解決するためには、経営環境を分析するマーケティング能力や計数管理の能力が必要となります。

 

また、チームメンバーを効率よく運営する能力も不可欠です。

チームメンバーの育成もしなければならないため、必然的にコミュニケーション能力やメンバーをコーチングするカウンセリング能力なども必要です。

 

これらに加えて、管理職には新たな業務開発や組織改革などを行なう責任もあるため、戦略を策定する能力や、プロジェクトマネジメントの能力も必要なケースが多いです。

 

このように、営業の管理職は営業部門を率いるリーダーとして、会社全体の業績や将来のビジョンを実現させる責務が期待されることが多く、幅広い能力が求められることになるでしょう。

 

1-4評価される資格

ここでは、営業のキャリアアップに有利な資格を紹介します。

 

まず、近年のビジネスにおいて需要が高くなっている「英語力」を示すには、「TOEIC」が良い資格になります。

一般的にビジネスで役立つといわれるレベルは700点以上で、英検の準1級レベルに該当します。

必要な学習時間は950時間程度といわれており、受験料は5,725円。700点以上のスコアを取る人は、一度の受験で全体の3割程度なのでしっかりと腰を据えて勉強する必要があるでしょう。

 

次におすすめなのが「ファイナンシャルプランナー」です。

CFPとAFP、FP技能士1級~3級があり、金融業界や保険業界、不動産業界などで習得した知識を活かすことができます。

相談者に適切なアドバイスや提案が出来るレベルを示すAFPの資格を取得するためには、FP技能士の2級以上に合格することと、AFP認定研修を受け修了することが必要です。

FP技能士2級に必要な学習600時間程度といわれており、合格率は35%程度です。

受験料はFP技能士が8,700円ですが、AFP認定研修はさまざまな企業が提供するものがあり、8,000円~2万円以上するものまで幅広いです。

 

マーケティングのスキルという点においては「販売士」の資格も有利です。販促や流通、財務や経営管理といった管理職には欠かせない知識を取得できます。

販売士の必要学習時間は、

3級は30時間程度、2級は60時間程度ですが、1級になると500時間以上といわれており、合格率は、3級で55%、2級で50%、1級で15%程度が平均となっています。

受験料は1級が7,710円、2級が5,660円、3級が4,120円です。

2.総務、企画など他部署へ

営業スタッフのスキルや経験は他の分野で仕事をする際に役立つこともあるため、他部署に異動して活躍するというのも一つの方法でしょう。

また自ら希望しなくても、会社の都合で他部署に異動するケースは珍しくありません。

ここでは代表的な部署と業務内容などの事例を紹介したいと思います。

 

2-1企画、商品開発

企画や商品開発部門の仕事は、端的にいうと新たなサービスや商品の企画や開発などです。

ただし、各企業や配属される部門によって業務内容は大きく異なります。

例えば、営業企画部であれば営業部門の戦略策定などに携わり、経営企画部であれば会社全体の事業戦略の立案などを行ないます。

経営陣に近くで仕事をするなど、会社の花形的な部署という立ち位置になることもありますが、その分責任も大きい部署ともいえます。

 

営業から異動する場合のメリットとしては、営業現場でヒアリングしたお客様のニーズを商品に反映できる点が挙げられます。

また、営業で培ったコミュニケーション能力やフットワークを生かすことで、周囲の人を巻き込みスピーディーに企画を進められる点が挙げられます。

 

2-2管理部門(人事、総務、広報など)

営業スタッフから人事や総務、広報となどのいわゆるスタッフ部門と呼ばれる管理部門に異動するケースもあります。

会社においては、事業を後方から支える縁の下の力持ちといえる役割の部門といえます。

 

営業出身者が人事部門に異動した場合、新たな営業スタッフの育成に尽力するケースも多いです。

また、さまざまな教育プランの作成や、研修時には新人・若手のメンターを任されることもあります。

新人営業スタッフの成長を肌で感じることができるため、教育に興味がある人にはやりがいのある仕事になることでしょう。

 

営業から異動する場合のメリットとしては、営業で培ったコミュニケーション能力で、社内での人脈ネットワークを広げられる点です。

例えば、広報部に異動した際には、広報活動の協力要請やプレゼン資料の作成を他部署のメンバーにスムーズに依頼することができます。

反面、裏方的な部門であるため表舞台に立つことが少なくなり、逆に地道な仕事が多くなることや事務作業が増えるなど、営業とは業務内容がガラリと変わるので、中には合わない人もいるかもしれません。

3.転職して他業種・他業界へ

他業種や他業界へ転職する場合のプロセスと、キャリアパスについて説明します。

 

3-1商社、流通業界

商社や流通業界にキャリアチェンジしたいと思う人もいるのではないでしょうか。

中でも、商社などは営業職が主力の会社が多く求人も豊富なため、転職する際に別の業界で営業スタッフとして築いた実績がそのまま生かせる点がポイントの1つです。

この業界は、比較的年収も高く、クライアントごとに柔軟な提案ができるため、やりがいのある仕事が経験できます。

 

ただし、ハイレベルなスキルが要求されることも多いため、高い語学力や海外クライアントとの取引経験など、自分にしかないスキルが必要となるケースもあります。

この業界でスキルと経験を積むことができれば、外資系の企業などへのキャリアアップを狙うこともできるため、努力次第ではさらに年収を上げることも可能です。

 

3-2サービス業界

サービス業界も接客や対人スキルなど、多くの営業スキルが活かせるため、営業職の人が転職先に選ぶことが多い業界です。

中でも最も多いのが、人材サービス関連で、営業職だけでなく企画や事務職として転職するケースもあります。

 

コンサルティングやリサーチ業界の転職も営業経験者におすすめです。

同業界で求められるクライアントの事業の課題などをヒアリングする能力は、場数を踏んだ営業職が持ち合わせていることがあります。そのような人材は、同業界への転職や実際の業務で有利になることがあるのです。

特に外資系のコンサルティング会社などは、高いスキルが要求されますが、年収もかなり高めに設定される傾向があります。

後述する広告代理店などのメディア業界へキャリアアップする人も多いです。

 

サービス業は無形商材を売る業種であることから、有形商材しか販売したことがない営業スタッフにとってはすべての経験が活かせるわけではありませんが、この業界でスキルと経験を積むことで、幅広い商材を扱えるワンランク上の営業職へのキャリアアップも目指せます。

 

3-3メディア業界

テレビ・出版社・広告代理店などのメディア業界に憧れている営業職の方にもチャンスはあります。

ただ、転職後の職種は営業職だけでなく、企画や管理系の職種という場合も多いため、その場合はクリエイティブな能力が要求されることもあります。

 

また、規模の大きい広告代理店や広告製作会社の場合、大手ナショナルクライアントや芸能事務所などを担当することも少なくありません。

そのため、扱う案件の金額や規模も大きなものが多く、そこで培った経験や人脈は、今後のビジネスマン人生にとってかけがえのない財産となることでしょう。

4.独立・起業

営業の第一線で結果を出した人の中には、将来は独立や企業を目指すという人もいます。

独立後の企業内容やきっかけ、身につけておくべき知識などについて紹介します。

 

4-1現業での人脈作りが重要

営業活動を行っていると、社内外にさまざまな人脈ができると思います。

会社時代に高い営業成績を上げることができれば、独立後に所属していた企業から仕事を発注してもらえるケースもあるかと思います。

 

さらに、クライアントから高い評価を得た人であれば、そこから仕事を依頼される場合も少なくはありません。

そのため、退職した後も継続できる人脈作りが非常に重要といえます。

 

4-2独立後の起業事例

営業職だった人が独立後に起業する事例として多いのは、個人事業主として企業から業務委託を受け営業活動を行なうケースです。

企業と有期契約を結び、歩合制や年俸制で営業代行として働くパターンや委託先の企業内に入り企業の名刺を持って、フリーランスとして営業活動を行なうパターンなど仕事のやり方も多岐に亘ります。

 

さらに、会社時代に飛び抜けた実績を出していた営業スタッフであれば、営業コンサルタントとして起業するという可能性もあります。

取り扱う商材も何にするかも含め、独立後のビジョンをできる限り具体的に持っておくことが大切です。

 

4-3独立後に必要な知識

独立後に起業すると、基本的に全ての業務を自分で行なう必要があります。

そのため、これまでは会社の別部署の人に任せられた仕事も自分で行なうため、営業以外の知識を学んでおく必要があります。

独立後に役立つ資格としておすすめなのは、MBA(経営学修士)や中小企業診断士、ファイナンシャルプランナーなどの資格です。

また、不動産業界で独立する場合、宅地建物取引主任者の資格取得者がいないと業務が行えないこともあります。扱う商材や業界に応じて、自分にとって「必要」もしくは「使える」資格を取得していくとよいでしょう。

 

とはいえ、全ての知識を一人で全て賄うというのは現実的ではないため、必要に応じて専門家に委託するという方法も視野に入れておくことをおすすめします。

5.キャリアを築くためにやるべきこと

ここまで営業職のキャリアパスについて説明してきました。ご自身の目指す方向性を決める参考にしていただければと思います。

しかし、会社に勤めている段階で最も重要なのは「今の仕事をしっかり取り組むこと」です。

なぜなら、どの方向に進むにせよ、まず必要になってくるのが「営業スタッフとしての実績」だからです。

 

今の会社で結果を出す中で、自分の適性や将来の選択肢、方向性も見えてくるはずです。自分だけでなく、周囲にも実績を示すことで、独立や転職のきっかけになる人が声を掛けてくれる可能性もあります。

まずは今の仕事に全力で取り組んで、目標が見つかったら、それに向けて努力とキャリアを積み重ねていきましょう。

6.まとめ

営業はタフでハードな職種といえますが、その中で日々精進し、優れた結果を出し続けることができれば、キャリアアップの道も開けてくるでしょう。

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