トラックドライバーの労働時間はどのくらい? 2024年問題も解説
トラックドライバーとしての就職を検討する中で、労働時間がどのくらいか気になったという方もいるのではないでしょうか。長時間の労働は従業員の負担になるだけでなく、交通事故を引き起こすリスクもあるため、トラックドライバーの労働時間には法律による制限が設けられています。
この記事では、トラックドライバーの労働時間の実態や「2024年問題」と呼ばれるものの影響、業界の取り組みなどについて解説します。
トラックドライバーの労働時間の実態
まずは、トラックドライバーの労働時間について、拘束時間と休息時間の違いや、2024年4月以降の労働基準法で定められている拘束時間に関する規制を紹介します。
拘束時間と休息時間の違い
トラックドライバーの労働に関する規則では、「拘束時間」と「休息時間」と呼ばれる時間が定められています。
「拘束時間」とは、始業から終業までの時間のことです。トラックの運転や荷物の積み下ろしなどの作業を行っている時間だけでなく、待機や休憩、仮眠をしている時間も拘束時間に含まれます。
一方、「休息時間」とは業務から完全に解放され、自由に過ごせる時間のことです。終業してから、次の業務が始まるまでのまとまった空き時間が休息時間と呼ばれます。
1日の拘束時間の規制
トラックドライバーの1日とは、始業時刻から24時間のことです。1日の拘束時間は、原則として13時間が上限とされています。ただし一定の条件を満たす場合には、1週間につき2回まで、15時間を上限とした拘束時間の延長が可能です。拘束時間を15時間に延長する場合には、休息時間を8時間以上確保する必要があります。
1か月の拘束時間の規制
労働基準法で定められているトラックドライバーの1か月の拘束時間は、原則として284時間以内です。例外として、労使協定を結んだ場合には、1年のうち6か月まで拘束時間を310時間以内に延長できます。ただし、拘束時間が284時間を超える月は、連続で3か月以内しか認められません。
トラックドライバーの労働時間規制の背景
トラックドライバーの労働時間規制は、過労防止や安全確保を目的として定められています。2024年4月からトラックドライバーの労働時間に関する規制が改正され、「2024年問題」と呼ばれる懸念事項が出てきました。ここでは、労働時間規制の背景や2024年問題の概要について解説します。
過労防止と安全確保
トラックドライバーの労働時間規制が改正された背景には、長時間労働に対する問題意識の高まりがあります。トラックドライバーが十分な休息を取らず、疲労が蓄積した状態で運転をすると、交通事故のリスクが高まります。過労を防ぎ、トラックドライバーや周囲の人の安全を確保するために、拘束時間や休息時間に関するルールが見直されました。
2024年問題とは?
2024年問題とは、2024年4月1日からトラックドライバーの時間外労働に関する基準が変わったことで生じた問題です。この変更では、1年間あたりのトラックドライバーの時間外労働は960時間までに制限されました。時間外労働が減り常態化していた長時間労働が改善されることで、トラックドライバー1人あたりの運送量が少なくなり、物流業界に様々な影響が生じます。
2024年問題の影響と対策
2024年問題は、トラックドライバーの労働環境や運送業界全体に大きく影響します。具体的な変化や、2024年問題に対応するための企業の取り組みは次の通りです。
労働環境の変化
時間外労働時間が制限されることの影響として、トラックドライバーがこれまで得ていた残業代が減り、収入が少なくなることが挙げられます。また、労働時間の短縮にともなって、業務の効率化が必要となることも変化の一つです。長時間の勤務による心身の負担が軽減される反面、収入の低下や業務改善が求められるといった変化が起こる可能性があります。
業界の取り組み
運送業界の企業では、2024年問題の影響を緩和するための様々な取り組みが行われています。IT技術の導入による業務の効率化や、配送ルートの最適化などが主な取り組みの例です。また、1人あたりの運送量の低下に伴って、新たなトラックドライバーの確保や育成に力を入れるケースもあります。さらに、運送会社だけでなく、運送を依頼する企業と協力して配送スケジュールを調整したり、メーカーが製品の梱包を小型化したりするなど、幅広い業界で2024年問題への取り組みが実施されています。
まとめ – 今後のトラックドライバーの労働時間
2024年4月から、トラックドライバーの労働時間が長くなりすぎないようにするための規制が始まりました。この変更により、トラックドライバーの過労や事故のリスクに配慮されるようになった一方で、残業代の減少や物流効率の低下といった新たな問題が生じていることが現在の状況です。これらの問題の解決に向けて、今後も運送会社をはじめとした業界全体での取り組みが進められるでしょう。