更新日:2025年02月21日

ベースアップとは? 定期昇給との違いと併せて解説

ベースアップとは、企業が従業員の基本給を一律で引き上げる取り組みのことです。ベースアップと似ている用語に「定期昇給」や「賃上げ」などもありますが、それぞれ意味が異なります。この記事ではベースアップの概要や2種類の計算方法、企業がベースアップを行うメリット・デメリット、定期昇給や賃上げとの違いについて解説します。ベースアップについての理解を深めたい方はぜひ参考にしてください。

ベースアップとは何か?

ベースアップとは、従業員ごとの勤続年数や成果にかかわらず、すべての従業員の基本給を上げることです。略称として「ベア」と呼ばれることもあります。

ベースアップは、企業と労働組合が労働条件について交渉を行う「春季労使交渉(春闘)」の結果を踏まえて実施されることが一般的です。労働組合がない企業においても、業績によってベースアップが実施される場合があります。

ただし、ベースアップは必ず行われるわけではありません。企業の実績や経営状況によってベースアップが実施されないこともあります。

ベースアップは大きく分けて2種類

ベースアップには大きく分けて「一定金額のベースアップ」と「一定の昇給率のベースアップ」の2種類があります。それぞれの昇給金額の計算方法は次の通りです。

一定金額のベースアップ

一定金額のベースアップは、従業員の基本給に対して一律で同じ金額を足して昇給する方法です。例えば引き上げ金額が1万円の場合、基本給が20万円だった人は21万円に、基本給が30万円だった人は31万円になります。

すべての従業員が同じ金額だけ昇給するため、社内における賃金の差が広がらないことが、一定金額のベースアップの特徴です。ただし、もとの賃金に対する昇給金額の割合を表す「昇給率」は、もとの賃金が高い人ほど低くなります。

一定の昇給率のベースアップ

一定の昇給率のベースアップは、従業員の基本給に対して同じ昇給率をかけた金額分だけ昇給する方法です。例えば、昇給率が5%であれば、基本給が20万円だった人は20万円の5%にあたる1万円分昇給し、21万円となります。基本給が30万円だった人の場合、30万円の5%にあたる1.5万円分昇給し、31.5万円となります。

一定の昇給率のベースアップは、もとの賃金が高い人ほど昇給額が増えることが特徴です。そのため、社内での賃金格差が広がりやすい傾向があります。

企業がベースアップを行うメリット・デメリット

企業がベースアップを行うと、メリットだけでなくデメリットも発生することもあります。主なメリット・デメリットは次の通りです。

メリット

企業がベースアップを実施するメリットとして、従業員のモチベーションアップが挙げられます。賃金が上がることで生活水準も高まり、仕事に対するモチベーションアップが期待できます。

また、採用力の強化につながることも、ベースアップのメリットです。企業がベースアップを実施すると求職者に対してアピールができ、競合他社と比べて有利に採用活動を進められる可能性があります。

デメリット

企業がベースアップを実施するデメリットは、人件費が増加することです。ベースアップでは原則として基本給を引き上げる取り組みのため、役職手当などと違って後から下げることができません。ベースアップを行った後に企業の業績が悪化してしまった場合、人件費の負担が大きくなるリスクが生じます。

また、従業員から不公平に感じられてしまう可能性があることも、ベースアップのデメリットです。ベースアップでは成果や勤続年数にかかわらず昇給が行われるため、大きな成果を出している人や勤続年数が長い人に不公平感が生じる場合があります。

ベースアップと定期昇給との違い

定期昇給とは、従業員の挙げた成果や勤続年数などに応じて、一定のタイミングで賃金がアップする仕組みです。

ベースアップと定期昇給の違いとして、定期昇給は実施するタイミングがあらかじめ決められていることが挙げられます。定期昇給は年1回や年2回など、企業が定めたタイミングで実施されます。また、ベースアップが一定の昇給額や昇給率で行われることに対して、定期昇給は従業員の評価によって昇給額が異なる点も主な違いです。

ベースアップと賃上げとの違い

賃上げとは、企業が従業員の賃金を上げることを指します。そのため、ベースアップは賃上げに含まれる取り組みの1つです。また、定期昇給などベースアップ以外の仕組みによる賃金の増加も賃上げに分類されます。

ベースアップがすべての従業員の賃金を一律で上げる仕組みであることに対して、賃上げは給料を増やす取り組みを全般的に表すことが、両者の主な違いです。

まとめ – ベースアップについて正しく理解しましょう

ベースアップとは企業が従業員に支払う賃金を上げる取り組みのことで、一定の昇給額や昇給率で固定給が増額されます。従業員のモチベーションが高まったり、採用活動で有利になったりすることがベースアップのメリットです。一方、人件費の増加や不公平感のリスクといったデメリットもあります。今回の内容を参考に、ベースアップの意味や定期昇給、賃上げとの違いを正しく理解しましょう。

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