歩合制とは? 固定給との違いやメリット・デメリットなど

求人情報で「歩合制」という言葉を見かけ、どのような制度か詳しくは理解していない方も多いのではないでしょうか。歩合制とは給与を決める仕組みの1つで、仕事の成果に応じた金額が支払われます。この記事では、歩合制の意味や固定給制との違い、歩合制の企業で働くメリット・デメリット、歩合制が採用される主な職種について解説します。
歩合制とは?
「歩合」とは割合という意味を持つ言葉です。売上金額などの仕事の成果に応じて、一定の割合で賃金が決まる仕組みが歩合制と呼ばれます。別の呼び方として「成果報酬制」と呼ばれる場合もあります。
歩合制と同様に給与制度をあらわす言葉として、「固定給制」や「完全歩合制」「インセンティブ制」があります。それぞれの意味や違いは次の通りです。
歩合制と固定給制との違い
固定給制とは、毎月一定の金額で賃金が支払われる仕組みを指します。仕事の成果にかかわらず、一定時間の労働に対して固定の給与が支払われることが固定給制の特徴です。
一方、歩合制の場合は、働く人が作り出した売上や利益などの金額をもとに計算された歩合給が追加で支払われます。
歩合制と完全歩合制(フルコミッション制)との違い
歩合制の企業では、毎月の固定給に加えて、成果に応じた歩合給が支払われます。
一方、完全歩合制(フルコミッション制)では、固定給が支払われません。成果に応じた歩合給だけが支払われることが、完全歩合制の特徴です。なお、最低賃金法により最低賃金は保証されているため、完全歩合給は雇用契約が発生しない場合にしか認められません。
歩合制とインセンティブ制の違い
歩合制は、売上や利益など個人の成果を基準に報酬が発生します。インセンティブ制度は、あらかじめ定められた目標を達成することで報酬が発生する制度です。
歩合制で働くメリット
歩合制を採用している企業で働く主なメリットとして、次の2つが挙げられます。
成果に応じて収入が増える
歩合制の場合、仕事の成果に応じて収入を増やせることがメリットです。例えば、自分が販売した商品について売上の10%が歩合給として設定されている企業では、月に100万円の売上を上げると10万円分収入を増やせます。高い成果を出すほど収入も上がるため、高いモチベーションを保って働くことが可能です。
歩合制で働くデメリット
歩合制にはメリットだけでなくデメリットもあるため、次のような点について理解しておきましょう。
収入が不安定になるリスクがある
歩合制の企業では、売上や利益などの成果が思うように出せなかった時に、収入が不安定になるリスクがあります。特に、完全歩合制の場合は固定給がないため、成果が低いと収入が著しく下がってしまう点に注意が必要です。
社内の人間関係が悪くなる場合がある
歩合制を採用している企業では、同じ部署の従業員同士で競争意識が高まり、人間関係が悪くなる場合があります。各従業員が自分の成果を優先しチームワークに支障が出やすいことが、歩合制のデメリットです。
歩合制が採用される主な職種
歩合制は、個人の働きが売上や利益に直結するような職種で採用されます。歩合制が採用される主な職種は次の通りです。
営業職
営業職では、販売した商品やサービスの売上に応じて歩合給が支払われる場合があります。特に、不動産や保険など、1件当たりの売上が大きい業界の営業職では、歩合制が採用される傾向があります。営業職の歩合制では、あらかじめ設定されたノルマを超えた金額に対して歩合給が支払われることも一般的です。
美容師、ネイリスト、エステティシャン
美容師やネイリスト、エステティシャンなどの職種でも、歩合制が採用されています。歩合給を決めるための指標は、売上金額や指名の獲得数など企業によってさまざまです。また、ヘアケア用品やスキンケア用品などの販売実績が考慮される場合もあります。
アパレル店員
アパレル商品を販売するショップの店員も、歩合制が採用されやすい職種です。個人だけでなく、店舗全体での売上をもとに歩合給が設定されることもあります。売上目標を達成した場合に一定の金額が支払われることも、アパレル業界でよくある仕組みです。
トラックやタクシーのドライバー
トラックのドライバーは、走行距離や輸送した荷物の量に応じて給料が支払われる場合があります。また、タクシードライバーの場合は、走行距離や乗客数が歩合給を決める主な指標です。運送業界のドライバー職は、企業や業務内容によって給与形態が大きく異なる場合があるため、求人情報を詳しく確認しておきましょう。
まとめ – 歩合制について理解した上で就職活動に取り組みましょう
歩合制とは仕事の成果に応じて給料が支払われる仕組みです。毎月決まった給料が支払われる固定給制と異なり、収入を増やせる可能性があります。ただし、成果が出せないと収入が不安定になったり、職場の人間関係が悪くなる可能性がある点に注意が必要です。歩合制の仕組みやメリット・デメリットについて正しく理解した上で、就職活動や転職活動に取り組みましょう。