失業保険(失業手当)の計算方法を解説! どのくらいもらえる?

離職した際、失業保険の手当額がどれくらいか、どのくらいの期間もらえるのかなど、気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、失業保険の計算方法について詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
失業保険(失業手当)はどのくらいもらえるの?
失業保険(失業手当)は、求職者の生活を支援し、1日も早く再就職できるようにするために支給される手当です。「失業保険」や「失業手当」との呼び方が一般的ですが、失業保険は「雇用保険」、失業手当は「基本手当」が正式名称です。
ここでは基本手当日額の算出方法と、賃金日額と給付率の計算について解説します。
基本手当日額の算出方法
雇用保険において、1日あたりに受給できる金額を「基本手当日額」といいます。基本手当日額は、下記のように賃金日額に給付率をかけて算出します。
【基本手当日額=賃金日額×給付率】
賃金日額と給付率の計算
賃金日額とは、原則として、離職した日の直前6か月の賃金の合計を180で割った金額のことです。賃金は毎月決まって支払われたもののみで、賞与などは含めません。
給付率は、60歳未満の場合は50%~80%、60歳以上65歳未満の場合は45%〜80%となっています。
給付日数の決定方法
基本手当の給付日数は、雇用保険の被保険者期間と年齢によって決定されます。自己都合退職の場合と会社都合退職の場合では日数が異なるため、それぞれについて解説していきます。
被保険者期間と年齢による違い
離職前の1年間で雇用保険の加入期間が通算6ヶ月以上あることが前提となりますが、会社都合退職の場合は、雇用保険の被保険者期間と年齢によって給付日数が決まります。それぞれのケースの給付日数は次の通りです。
【30歳未満の場合】
被保険者であった期間が1年以上5年未満:90日
被保険者であった期間が5年以上10年未満:120日
被保険者であった期間が10年以上20年未満:180日
【30歳以上35歳未満の場合】
被保険者であった期間が1年以上5年未満:120日
被保険者であった期間が5年以上10年未満:180日
被保険者であった期間が10年以上20年未満:210日
被保険者であった期間が20年以上:240日
【35歳以上45歳未満の場合】
被保険者であった期間が1年以上5年未満:150日
被保険者であった期間が5年以上10年未満:180日
被保険者であった期間が10年以上20年未満:240日
被保険者であった期間が20年以上:270日
【45歳以上60歳未満の場合】
被保険者であった期間が1年以上5年未満:180日
被保険者であった期間が5年以上10年未満:240日
被保険者であった期間が10年以上20年未満:270日
被保険者であった期間が20年以上:330日
【60歳以上65歳未満の場合】
被保険者であった期間が1年以上5年未満:150日
被保険者であった期間が5年以上10年未満:180日
被保険者であった期間が10年以上20年未満:210日
被保険者であった期間が20年以上:240日
なお、被保険者であった期間が1年未満の場合、上記のどの年齢区分においても給付日数は90日となります。
自己都合退職と会社都合退職の給付日数の違い
会社都合退職の場合は上記の給付日数となり、年齢区分によって日数が異なります。一方で自己都合退職の場合は年齢区分がなく、次のような給付日数になります。なお、自己都合退職の場合、退職前の2年間で雇用保険に通算12ヶ月以上加入していることが条件となります。
【自己都合退職の場合】
被保険者であった期間が10年未満:90日
被保険者であった期間が10年以上20年未満:120日
被保険者であった期間が20年以上:150日
失業保険の総支給額の計算
失業保険の総支給額は、次の計算式で求められます。
【総支給額=基本手当日額×給付日数】
ここでは総支給額の計算例と、給付制限期間について解説します。
総支給額の計算例(自己都合退職の場合)
次のケースの人が自己都合退職をした場合について解説します。
年齢:33歳
被保険者であった期間:8年
基本手当日額:7,000円
被保険者であった期間が8年なので、給付日数は90日となります。総支給額を算出する計算式の【基本手当日額×給付日数】に当てはめると【7,000円×90日】となり、総支給額は63万円となります。
会社都合退職での給付額と制限期間
自己都合退職の場合は、ハローワークに雇用保険の申請をしたあと7日間の待機期間があり、待機期間満了日の翌日から2ヶ月間は給付制限期間のため基本手当の支給がありません。
また、2025年4月からは、自己都合退職の場合でも自ら教育訓練を行った場合、給付制限がなくなり、それ以外の場合も給付制限期間が1ヶ月となります。
会社都合退職の場合は給付制限期間が設けられていないため、自己都合退職の場合よりも早く給付金が支給されます。会社都合退職は自己都合退職に比べて給付日数も長いため、手厚い支給内容になっているといえるでしょう。
ハローワークでの相談も有効
ハローワークには失業保険に関する相談窓口が設けられており、基本手当日額や給付日数などについて疑問がある場合は相談してみるのも有効な手段です。受給資格の有無や申請手続きの方法、求職活動に関する相談などもできるので、不安や悩みがある場合も一度相談してみるとよいでしょう。
まとめ – どのくらいもらえるか失業保険を計算してみましょう
失業保険の手当は次の計算式で算出できます。
【基本手当日額=賃金日額×給付率】
【総支給額=基本手当日額×給付日数】
自分自身の年齢や被保険者であった期間、賃金日額などを用いて計算し、どのくらいもらえるのかを算出してみましょう。