失業保険は自己都合退職でももらえる? 条件・手続きなど解説
失業保険を受給するための条件は、自己都合または会社都合のどちらで退職したかによって異なります。一定の条件を満たしていれば、自己都合で退職した場合でも失業保険を受け取ることが可能です。
この記事では、失業保険の仕組みや、自己都合退職で失業保険を受給するための条件、必要な手続きなどについて詳しく解説します。
失業保険とは?
失業保険とは、仕事を失った際に一定期間、給付金を受け取れる制度です。失業保険を活用することで生活の安定を図り、次の就職先を見つけるための活動をスムーズに進められます。
失業保険の基本的な仕組み
失業保険の手当ては、勤務先の企業によって雇用保険に加入している人が失業した場合に受け取ることが可能です。給付される金額や期間は、勤続年数や退職時点での年齢などに基づいて決定されます。
自己都合退職と会社都合退職の違い
自己都合退職とは、労働者が自らの意思で退職することです。例えば、キャリアアップや待遇の改善などを目的とした退職は自己都合退職として扱われます。一方、会社都合退職とは、経営上の理由や倒産など、企業側の事情により退職させられることです。
自己都合退職では、失業保険の受給期間が会社都合の場合と比べて短くなる可能性があります。また、失業保険を受給するための条件も、自己都合退職と会社都合退職で異なります。
自己都合退職で失業保険をもらうための条件
自己都合退職で失業保険を受給するために満たすべき条件や、給付までの待機期間は次の通りです。
受給資格の要件
自己都合退職で失業保険をもらうための基本的な条件は、退職日の直前の2年間の内、雇用保険の被保険者であった合計期間が12か月以上であることです。また、就職する意思と能力があるものの仕事が見つかっていない「失業状態」であることも、失業保険を受給するための条件です。
給付制限期間と待機期間
自己都合退職では、失業保険の基本手当てが支給されるまでに2か月または3か月の給付制限期間が設けられています。直近5年間での自己都合退職の回数が2回以下であれば、給付制限期間は2か月です。一方、直近5年間での自己都合退職が3回以上の場合や、重大な過失や犯罪などが原因で解雇された「重責解雇」に該当する場合は、給付制限期間が3か月となります。
また、自己都合退職の場合は、失業保険の受給手続きから7日間の待機期間があり、これらの期間を過ぎるまでは給付金を受け取れません。
失業保険の受給手続き
失業保険を受給するためには、次のような手続きが必要です。
失業保険申請の必要書類
失業保険を申請する際には、次の書類を用意しましょう。
- 雇用保険被保険者離職票(1・2)
- 雇用保険被保険者証
- 本人確認書類
- 個人番号確認書類
- 証明写真2枚(縦3cm×横2.4cmのサイズ)
※マイナンバーカードを提示することで写真提出を省略することができます。 - 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
雇用保険被保険者離職票と、雇用保険被保険者証は、勤務していた企業で受け取れます。本人確認書類には、運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなどを利用可能です。個人番号確認書類としては、マイナンバーカードか通知カード、個人番号が記載された住民票のいずれかが使えます。証明写真は、最近撮影した正面上半身が写っているものが必要ですが、マイナンバーカードを提示することで写真の提出については省略することも可能です。
ハローワークでの手続きの流れ
失業保険の申し込みをする際は、自分が住んでいる地域を管轄するハローワークで手続きを行いましょう。求職申込書と失業保険に必要な書類を提出し、受給資格が認められると、雇用保険受給説明会の日程が案内されます。
雇用保険受給説明会では、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書という書類がもらえます。その後、指定された失業認定日にハローワークに行き、雇用保険受給者資格者証と、必要事項を記入した失業認定申告書を提出しましょう。これらの手続きを行ったあと、給付制限期間と待機期間が過ぎると、指定した金融機関の口座に失業保険の手当てが入金されます。
自己都合退職で失業保険を早くもらう方法
離職した理由について一定の条件を満たす場合には、失業保険を早くもらえる場合があります。ここでは、失業保険を早くもらえるケースについて解説します。
特定受給資格者と特定理由離職者
特定受給資格者とは、企業の倒産や解雇などで離職した人のことです。また、特定理由離職者とは、心身の不調や家庭の事情、希望退職制度による退職など、正当な理由で退職した人を指します。特定受給資格者や特定理由離職者に該当する場合は、7日間の待機期間後に失業保険の受け取りが可能です。
失業保険を早くもらうための具体的な方法
特定理由離職者としてハローワークから認定されれば、2か月または3か月の制限期間なしで失業保険を受給できます。退職理由が確認できる資料を用意して、ハローワークで失業保険を申請する際に相談しましょう。
また自己都合退職であっても、公的な制度である「職業訓練」を受講すると、制限期間が過ぎるのを待たずに失業保険を受け取れます。失業保険を早くもらいたい場合は、これらの方法を検討してみましょう。
まとめ – 自己都合退職でも失業保険は受給可能
一定の条件を満たしていれば、自己都合退職でも失業保険を受給できます。ただし、自己都合退職の場合は2か月または3か月の給付制限期間があるため、早めの手続きを行うことがおすすめです。また、特定理由離職者に該当する場合や、職業訓練を受ける場合は給付金を早めに受給できます。失業保険の仕組みや受給の条件を正しく理解した上で、手続きを進めましょう。