一級・二級建築士の資格|求人・転職事情
建築士の転職・求人募集|資格の詳細や仕事内容を徹底解説!
<建築士の仕事内容>
家屋や集合住宅、商業施設にビルなどの建築物の空調、排水、電気設備の設計は、設備設計という分野になります。
また建築の専門見地から快適で、効率かつ実用性や住みやすさなどを加味した家屋、ビルなどのプラン構築は、意匠設計と呼ばれています。
【工事監理業務】
設計士の仕事には、建築物の工事進捗がスムーズにかつ計画通り行われているか監督する業務があります。施工現場へ必ず足を運び、職人への施工指示や、顧客との連絡といった業務も建築士の仕事です。
一定規模以上の工事では、現場監督の設置義務がありますが、全員が建築士の資格を持ち合わせてはいません。デザインや効率性、安全や環境管理など設計の観点から監督する建築士の業務は建築で重要な位置を占めています。
【建設のための手続きや診断業務】
建設に取り掛かる前に行う、建設予定地調査も建築士の業務です。空地に建物を建築する場合、土地の建築範囲や建築条件などを認知する敷地調査を行います。
これは現状が更地であっても、地目が農地であったり、都市計画道路指定地だったりすると建設することができないからです。
建築予定地の条件を整えるほか、工事のための道路使用許可など、適切な届け出も建築士が対応にあたります。
建築士は、中古物件の住宅診断を行うことができます。工事の実務経験があっても建築士資格がないと建物の監査はできないため、とくに戸建て、マンションなど特化した住宅診断は、不動産エリアでも需要の高い業務です。
【建築士の働き方】
建築士は、専門性を非常に高く要求される職業なため、基本的に正社員で雇用されることがほとんどです。
就職先にはゼネコン、設計や建築事務所、ハウスメーカー、公務員、住宅関連設備メーカー、不動産会社、建設関連コンサルタント業者など豊富な選択肢があります。
独立して個人事務所を開くという建築士も少なくありません。
企業に建築士として勤める場合、基本的に会社のスケジュールに沿って業務にあたります。建築士の1日は9時あるいは9時半出勤で始まります。
午前中は、メールや書類に目を通し、返信作業や取引先、顧客との連絡業務をこなします。昼休憩は1時間取りますが、スケジュールにより簡単に休憩を済ませることもあるようです。
午後は、手掛けているプロジェクトの進捗の確認や、各建築部署、外注先などとミーティングを行い、計画を進めます。建築士の1日は、現行の依頼によりスケジュールも大きく変わります。
建築士は、社内打合せの意見をもとに、デザインの再考などを行うため、帰宅が遅くなることもあるようです。
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一級・二級建築士の資格や試験について
建築士は、建築内容により資格が3つに分かれています。それぞれの建築士資格について解説します。
【木造建築士・二級建築士】
木造、二級建築士ともに建設物の設計及び監理を業務としますが、建築の規模によって取り扱いが、木造建築士は主に2階建て以下の木造建築物、二級建築士は、戸建て、低層マンションなど小規模なプロジェクトを取り扱うことができます。
資格を取得するには、中学、高校、高専、大学、短大にて指定の科目を履修して卒業している、あるいは建築設備士は実務経験がなくても受験資格があります。
しかし、建設に関する学歴がない者は7年、外国大学卒業者など都道府県知事が同等と認める者にも一定の実務経験をもって、受験資格としています。
試験内容は、学科に建築計画、建築法規、法規、建築構造の4種があり、5択形式の100問の出題があります。実技は事前の公示課題に沿って設計製図を完成させます。
近年の合格率は、二級建築士では約20%前後、木造建築士が30%前後となり、比較的難易度の高いといわれる国家試験です。
【一級建築士】
一級建築士は、建物の規模や構造、用途に制限なく、設計、監理を行うことが出来ます。
特に特定建築に指定されている、劇場、公会堂、病院や学校と行った大規模で公的な施設などは、一級建築士の資格がなければ関与することができません。
受験資格を得るのは、大学、短大、高専、専修学校にて指定科目を履修して卒業しているもしくは、二級建築士資格、建築設備士資格、都道府県知事が同等と認めるなどの条件を満たす必要があります。
ただし、二級建築士や木造建築士に必要だった、実務経験年数は一級建築士の受験資格では問われません。
試験内容は、学科試験が4択回答形式で、計画、環境・設備、法規、構造、施工の5種類の科目があります。実技試験は、事前に公表されている設計課題製図です。
統計によると、合格率は約12%前後と低く、最も難易度が高い国家試験の一つとなっています。
建築士になるには?転職・資格取得に向けた準備
建築士になるためには、一級、二級、木造建築士、いずれかの建築士資格を取得しなくてはなりません。受験資格も指定がありますので、ここでは一般的な建築士になるためのステップをご紹介します。
【土木科・建築科の高等学校へ進学】
高等学校で、土木あるいは建築科のある専門科を卒業して、実務を3年以上積むと、二級建築士と木造建築士の受験資格を得ることができます。
二級建築士で4年以上実務経験を経て、一級建築士の受験資格となります。
【専門学校の建築学科を卒業】
専門学校の場合は、1年制、2年制ともに建築学科を卒業してから、2~3年(各課程により年数が変わる)の実務経験があることで、二級あるいは木造建築士の試験を受験できます。
一級建築士の受験資格は、前述同様に二級を取得してから4年以上の実務経験を必須とします。
【大学・短大の土木・建築学科を卒業】
4年制大学、2年制短期大学卒業の場合は、ともに建築学科であれば実務経験なしに、二級あるいは木造建築士の資格を受験できます。
土木学科では1年の実務経験を経たのちに受験資格を得ます。一級建築士の受験資格は他と同様の手順です。
【通信教育で学ぶ】
建築士の受験資格を得るためには通信講座で、一定の専門科目の履修を完了することも可能です。通学の手間を省ける通信教育ですが、建築士の場合、実習系の科目はスクーリングで製図・設計演習のカリキュラムを履修しなくてはなりません。
ただし通信教育を開講している大学や専門学校の実習は、週末に設定のところが多いようです。
【番外編】社会人でも建築士を目指せる?
社会人になってから建築士を目指す方は、大学や短大で改めて指定科目を履修する、もしくは7年以上の実務経験を積み、建築士の受験資格を得る必要があります。
異業種から未経験の場合、建築事務所などで経験を積むという方法もあるでしょう。
ただし、難関と言われる国家試験に合格して晴れて建築士として就業するまで、かなりの道のりが予想されます。将来の目標はできるだけ早い段階で見定め、計画的に実行することが重要といえるでしょう。
建築士の仕事体験談
建築士の転職体験談:仕事のやりがい
50代・男性
建築士の仕事は、何といっても自分が創ったものが残るというのが魅力です。さらにお客様が満足するものを提供するというのは、自分へのチャレンジでもあり、喜びでもあるんですね。
私の設計のモットーは「こだわり」です。色や形、大きさ、すべてに意味があることを意識しながら製図に落とし込むようにしています。
建築士の転職体験談:仕事のやりがい
30代・女性
男性が多く活躍する業界で「女性だがら」とレッテルを張られないよう意地で働いてきました。でも独立してから、女性だから依頼したいというお客様が多いことに正直驚いています。
家事導線や収納など、女性だから気が付く細かい部分はお客様に喜んでいただいています。今は女性だから提案できる設計に自信もありますし、家庭との両立で充実した生活を送っています。
建築士の転職体験談:仕事で大変だったこと
40代・男性
建築士の仕事は、想像したイメージをどれだけ実現できるかなんですよ。構想上ではまとまっていても、いざ図面にすると、もっとよくしたいとアイデアが膨らむことがよくあります。
ある公共のプロジェクトでは、設計図を1200枚以上制作しました。
お客さんのニーズに合う、それでいて自分の表現を失わないちょうどよい加減というのを見つけるのに苦労します。でもその繰り返しでいいものが作れるんだと思います。
よくある質問
- 建築士の年収はどのくらい?
- A. 2019年度の賃金構造基本統計調査によると、一級建築士の年収平均は、従業員が10人以上100人未満の中小企業では、約570万円前後です。1000人以上の従業員を抱える大手ゼネコンは、平均年収は900万円前後になります。
ハウスメーカーなど営業所の多数ある業態では、約750万円前後が一級建築士の平均年収という統計があります。また独立事務所など従業員が少数の場合の一級建築士の年収は、約700万円程度になるようです。 - 建築士は文系でもなれる?
- A. 卒業する高校が文系の場合は、進学する大学、もしくは短大で建築科・土木科を選択する、または指定された建築関連科目を履修できる学校を選びましょう。
大学が文系の場合は、建築学科のある学部、あるいは学校へ転入する方法があります。
また通学しながら通信講座で建築士受験資格を得ることも可能です。あるいは文系大学を卒業してから、建設関連の会社に就職して実務経験を積むという方法でも建築士になれるルートが確保できます。 - 二級建築士は独学でも合格できると聞くが本当?
- A. 二級建築士は、独学で取得することは不可能ではありません。合格するためには、製図試験をいかに克服するかというのがメインのポイントとなります。
建築士の試験は、学科合格者のみが製図試験に進みます。5時間の試験時間への忍耐力と集中力をつけるためにも、過去問題の反復にフォーカスしてみましょう。
また添削サポートのあるネット講座を利用するなどして、課題のパターンを把握することが大切です。 - 建築士と設計士の違いとは?
- A. 建築士と設計士の違いは、国家試験資格の有無です。建築士は有資格者として、建築物の設計から監理業務を行うことができますが、設計士は建築関連の補助業務がメインで、現場での指示や決定権はありません。
建築法では、100平方メートル以下の建築物の設計に資格は必要ないため、設計士は一定規模の設計や建築士のサポート役を担います。
設計士には、建築士を目指して実務経験を積んでいる人も多いようです。
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建築士の将来性・求人の多さや仕事内容
国土交通省のデータによると、建築士の受験者数は約3分の2に減少しているといいます。これは建設量が減ったのではなく、高齢化による全体的な人材の不足が関連しているとみられています。
政府では建築業界の環境改善のため、令和2年より建築士受験の資格要項を変更し、より受験しやすい条件を採用しています。
近年、建築士の仕事は設計や監理にとどまらず、既存建築物の有効活用を理由に、多様化しているのが現状です。常に求められている業界・資格なので、求人数も一定数あることが多い状況です。
ライフスタイルや環境の変化により、新しい機能性などを求めるスタイルも増加すると考えられています。建築士にとっては、創造性を生かした仕事ができる機会が広がるといえるでしょう。 -
建築士のキャリアアップ
建築士は就職先、設計する建設物の規模など、多様な選択肢がある職業です。建築士になったら次に目指すキャリアにはどのような方向性があるのか、代表的なビジョンをご紹介します。
設計事務所からハウスメーカーやゼネコンへ
建築士の資格を得て経験を積むために設計事務所などに就職するケースはよくあります。設計に携わる建築士は、スケールの大きなプロジェクトに関わりたいという夢を持つ人が多いのも事実です。
一級建築士の有資格者は、公共工事など大規模建設に関わるチャンスの多い大手ゼネコンなどに転職するのが一般的です。ゼネコンは年収も業界でトップクラス。
幅広い活躍の場を得ることができるでしょう。
ゼネコンからコンサルティング会社へ
大手ゼネコンで建築士を経験した人は、さらに総括的な専門知識を生かすためにコンサルティング企業へ転職する人もいます。
コンサルティング企業は、建設物の設計および経営理念を見据えた事業戦略を提案するアドバイザリー業務が中心です。
建築のプロとして設計や監理だけでなく、総括的にビジネスの指揮をするため、経済学の知識も要求されるポジションです。
論理的な洞察力と広域な知識を持ち合わせる人材は魅力を感じるキャリアになるでしょう。
独立してフリーランスの建築士として働く
建築士の中には、将来独立してフリーランスで仕事がしたいという目標を持っている人もいるでしょう。
フリーランスのメリットは、社内の人間関係のわずらわしさにとらわれず、頑張りしだいで高額な売り上げを達成できることでしょう。
一方で、組織的な取り組みができないことやクライアントとの信頼を1人で築き上げなければならない反面もあります。
フリーランスになるためには、建築士資格はもちろんですが、実務経験も顧客の信頼を獲得するための重要なポイント。
また事務所登録では、建築士法にて管理建築士を設置する義務があり注意が必要です。起業には、投資資金やビジネスの将来性など多くの課題が焦点となります。
フリーランスを目標に掲げている人は、長期的なキャリアプランを構築し、実現に向けてステップアップしていきましょう。 -
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