派遣切りとは?コロナ不況で派遣切り再び
派遣切りとは?同一労働・同一賃金とコロナ不況で再度の派遣切り
<リーマンショック時の派遣切り問題と2020年のコロナ不況における派遣切りの違い>
まず、派遣切りという言葉が生まれたのはリーマンショック(2008年から始まった世界規模の金融危機・不況)で自動車産業を中心とした製造業の派遣労働者との契約を打ち切る(雇い止め)動きが活発化した時代です。「
年越し派遣村」等の映像が繰り返し報道されたことで生まれました。
日本の自動車業界は当時の派遣切り問題で批判にさらされたこともあり、最大大手トヨタでは2020年のコロナ不況での派遣切りは行わずに「雇用維持」の方向性を打ち出しています。
2020年4月より同一労働・同一賃金の制度が始まったことによって、非正規雇用の賃金格差を改善する動きがありますが、新型コロナの影響による不景気・不況で「契約更新時に更新してもらえず、切られるキッカケになってしまっている」という状況も発生しています。
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働き方改革で導入された同一労働・同一賃金で派遣切りはどうなるのか
日本政府が打ち出した「働き方改革」の代表的な考え方の1つが「同一労働同一賃金制度」です。
2020年4月から開始されました。
同一労働同一賃金とは、そのままの意味で「仕事内容が同じであれば、同じ賃金を支払う」という制度です。
代表的な例としては、「全く同じ仕事をしているパート・アルバイトの非正社員と、派遣労働者、正社員がいる場合は、雇用形態に関わらず同じ賃金を支払う」という場合です。
待遇格差をなくし、様々な働き方が選択できるようにするという制度で、非正規雇用の人材を救う制度と期待されています。
しかし、これが逆に新たな派遣切りを生んでしまうのでは?という声も出てきています。
実際に、2020年6月にはコロナショック・コロナ不況による6月の派遣切り問題が発生していました。
多くの派遣労働者が3か月更新になっており、「4月から6月末までの契約」で働いていた派遣労働者が、契約を更新してもらえずに雇止め/派遣切りとなり、失業者が増えている現状があります。
同一労働・同一賃金の制度を守ることで、かえって「(企業側にとって)安い賃金が魅力だった非正規雇用の労働者を雇用するメリットが失われた」という状況になってしまう場合が出てくるからです。
よくある質問
- 派遣切りとは?
- 「派遣切り」とは、主に派遣社員・派遣労働者が働いている企業から、業績悪化・経営不振等を理由に契約更新を打ち切られることを言います。
また、同じように派遣先企業ではなく、雇用されている派遣会社・派遣事業者より更新拒否(雇い止め)または解雇されることを言います。
2008年当時のリーマンショック時期から使われ始めた言葉で、最近になって「同一労働・同一賃金」の制度が始まったことや新型コロナによる不景気が続いていることで、再度注目されるようになってきました。 - 派遣切りが行われた理由は?
- 大きなキッカケとなったのはリーマンショックでした。
リーマンショックとは?株価の影響やサブプライムローン問題
世界的な大不況となり主に製造業を中心として派遣労働者の契約を打ち切る動きがありました。
当時、トヨタ自動車等の自動車業界や電機メーカーなどはアメリカ等の輸出が大幅に減ったことで工場で働く従業員の契約を終了させる動きが増えました。
そうして失業者が増えていったことで、報道機関に「年越し派遣村」等の形で紹介されたことで認知度が上がっていきます。 - 派遣切りは違法ですか?
- 派遣先企業と所属する派遣会社の契約次第なので、一概には言えません。
特に「派遣先企業が不景気で仕事が無くなった」というような場合は、仮に両社の契約が残っていたとしても切られてしまう場合もあります。(派遣先企業が顧客になるので、今後の関係性を考慮して強くでることを躊躇う状況になってしまう)
しかし、社会通念上は「雇用を守る」のが望ましいため、最低限契約期間無いは継続することが求められています。
また、派遣労働者が所属する派遣会社においても、雇い止め等を極力しないような体制が求められています。
そういった背景もあり、3か月更新/半年更新/1年更新等が多い派遣先企業と派遣会社の契約の関係で、2020年4月に緊急事態宣言が出て一気に景気が悪化したこともあり、「2020年6月末の派遣切り問題」「9月末」「2020年の年末」「2021年の3月末」が「新たな派遣切りでの失業者が生まれてしまう可能性の高い時期となっています。 - 派遣切りされた場合の失業保険は?会社都合?自己都合?
- <失業保険>
派遣労働者であっても、条件を満たせば失業給付金(失業保険/失業手当)をもらうことが可能です。支給条件に当てはまるのか、所属している派遣会社に確認してみましょう。
<自己都合か会社都合か?>
失業手当がもらえる時期に影響する自己都合か会社都合。大切なポイントなので、具体的な事例を出して紹介します。
①契約期間中
派遣先企業の事情・都合で離職:会社都合
個人的な事情で退職:自己都合
②契約期間満了
仕事をする・働く意思はあるが、派遣会社から1か月以上仕事が紹介されない:会社都合
次の仕事を紹介されたが、断った:自己都合
派遣会社の経営状況が悪化し、倒産等による解雇というような状況であれば会社都合になりますが、状況に応じて確実に「このパターンなら会社都合/自己都合」とは言い切れない場合があります。ハローワークに雇用保険手続きの相談窓口が設置されている場合があるので、状況次第では相談することをオススメします。 - 同一労働・同一賃金とは?
- 政府の働き方改革の一つ「同一労働同一賃金制度」が2020年4月から適用されています。
同一労働同一賃金とは、職務内容が同じであれば、同じ額の賃金を従業員に支払うという制度です。
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派遣切りが生まれやすかった背景
人材を派遣するサービスが定着したのは、「その企業の状況に合わせて柔軟に労働力を提供できる」というメリットがあったからです。
直接雇用をしないことで求人を出したり応募者の対応をする手間が軽減されることで、仕事の忙しさに波のある企業や多くの労働者を必要とする工場等で派遣労働者が活用されました。
元々「仕事が多い時だけ増員し、仕事が減ってくれば人員も減らす」という考え方に沿っていることもあり、派遣先の企業が中途解約可能な派遣契約を結ぶ場合があったようです。
途中解約をされた場合でも、派遣先の企業に対して訴訟を起こすことは躊躇することもあり、仕組みとして「派遣切り」が起きやすい土台があります。 -
2020年コロナ不況で再度の派遣切り?働き方改革と同一労働・同一賃金で変わるのか
2020年4月、日本政府の打ち出した働き方改革の一環で「同一労働・同一賃金」の制度が始まりました。
主な対策の意味としては「働いても生活が貧しい非正規雇用の方達を守るため」の制度です。
どの職場でも「社員じゃないのに、社員並みに仕事をしている人」がいるものですが、そういった「実際は社員と同じ仕事をしているのに、賃金格差が生まれている人たち」を救うための「待遇格差を是正する制度」です。
しかし、実際の非正規雇用の方の場合は、「全く同じ仕事をしている」ことは少ない場合が多いかもしれません。
雇用形態・立場が違うことで求められる要素やプレッシャーも変わってきますし、単純に同じ分野の仕事をしているから、というだけでは「同一労働・同一賃金」に当てはまらない可能性があり、判定が難しい部分と言えるでしょう。
また、別の問題として「給与が上がることで、逆に派遣切りにあいやすくなるのではないか」という懸念の声も挙がっており、コロナ不況と重なってしまったことで「派遣切りの被害にあいやすい状況」ができてしまいました。 -
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