公務員の行政保健師とは|仕事内容や求人・転職事情
公務員の保健師「行政保健師とは」|求人・転職状況、仕事内容を解説
行政保健師への転職は、公務員の保健師の中で比較的成功しやすいといえます。
平成30年に厚生労働省が発表した「衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、「市区町村」に勤める行政保健師だけでも56%と全体で最も多い結果が出ており、保健師の半分以上が行政保健師ということがわかっています。
行政保健師の求人は、中途採用も1年中見られます。
また応募条件も未経験可の求人も多いため、保健師の経験がなく保健師への転職を目指している方でも応募可能です。
ただ、行政保健師は公務員扱いになるので、各行政機関が実施する採用試験に合格する必要があります。
公務員試験の難易度は決して低くないので、公務員試験の過去問を繰り返し解くなど入念な対策を行うことが大切です。
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公務員の行政保健師とは
「保健所」や「保健センター」、「地域包括支援センター」といった公的機関で公務員として働く保健師を行政保健師といいます。
働き方は所属する公的機関によって異なりますが、基本的に、都道府県が管轄する「保健所」であれば地域の衛生管理や感染症の予防対策など1次予防に携わることが多いです。
「保健センター」や「地域包括支援センター」といった市区町村が管轄する組織の場合には、乳幼児の検診や、地域住民のメンタルヘルスケアをはじめとした2次、3次予防に従事します。
行政保健師の役割
「予防医療の専門家」として地域住民が病気にならないよう、健康検診や病気に知識を広めることで、地域住民が健康に過ごせるようにすることが行政保健師の大きな役割です。働く場所によって、携わる領域や業務の詳細は異なりますが、「地域住民が健康で幸せな日々を過ごせるように専門知識を活かして働く」という根本の部分は同じです。
行政保健師の仕事内容
行政保健師の具体的な仕事内容は、所属する行政機関によって異なりますが、基本的には、「医療・健康に関する業務」「社会福祉に関する業務」の2つです。
医療・健康に関する仕事
・健康促進…食生活指導、健康教室、健康検診
・伝染病…感染症の予防・エイズなどの感染症や結核の予防、り患者の相談対応
・病気知識の普及…若者に対して性病知識に関する講演
社会福祉に関する仕事
・精神保健福祉…うつ病など心に悩みを抱えている人の相談対応
・母子保健…子育て相談、母子の健康調査、育児に関する知識提供
・介護…要介護者を抱える家庭に対して相談対応、負担軽減の提案
保健所に勤める行政保健師の一日
8:00:出勤
メールチェックなど本日の業務の確認・準備を行います。
8:15:朝礼
本日の個人の予定と部署の予定を共有します。
8:30:開庁
午前中に予定されている業務の準備を行います。
10:00:各所に連絡を入れる
以前行った健康調査の結果を確認して、再検査が必要な方に連絡を入れます。
11:30:訪問、昼食
午後に控えている訪問の前に昼食を済ませます。
13:30:乳幼児訪問
赤ちゃんと産後の母親の健康確認にくわえて、子育ての相談にのります。
15:30:自宅介護をしている家庭を訪問
被介護者の健康調査と介護をしている家族の相談対応をします。保険が適応されるサービスの提案など家族の経済的負担を減らせるよう情報を提供します。
16:00:検診の手伝い
予定より早めに帰庁したので、その時行っていた検診の手伝いをします。
17:00:報告書作成
本日行った業務に関する報告書を作成します。
17:45:退庁
翌日の準備をした後、帰宅します。
公務員の行政保健師になるには
行政保健師になるためには、保健師の資格を取得したうえで各行政機関が実施する職員採用試験に合格する必要があります。
職員採用試験とは公務員試験のことで、基本的には学科試験と面接で構成されており、場所によっては保健師の知識を問う試験を課すことあります。
また試験の難易度に関しても、大卒程度の上級公務員試験、短大卒程度の中級公務員試験、高卒程度の初級公務員試験と各行政機関によって異なりがあるので、志望する行政機関の求人で確認しましょう。
行政保健師の倍率について
行政保健師の求人倍率は、各行政機関によってばらつきはあり一概には言えませんが、時には10倍を超えることも珍しくありません。
加えて、公務員試験の合格率は、国家公務員試験が約20%、地方公務員試験が約15%と決して高くありません。
保健師の勉強は勿論のこと、公務員試験の過去問を繰り返し解くなど試験対策が重要です。
行政保健師の仕事体験談
行政保健師で働いてよかったこと
(30代 女性)
「私が担当として関わった人たちから感謝されるたびに行政保健師をやっていてよかったと感じますね。以前、私の担当地区から引っ越すお母さんが、引っ越し前に会いに来てくれて「いままで検診とかでお世話になった、ありがとう」と伝えてきてくれました。また、私が企画運営した健康キャンペーンに参加して減量を成功させた方が出たときにも「Kさんのおかげで痩せられたよ」と言ってもらえたことも忘れられない思い出の1つです。地域住民の方と1対1で向き合えるのは行政保健師ならではだと思います。」
行政保健師で働いてよかったこと
(20代 女性)
「担当していた赤ちゃんが成長していく姿を見るたびに、行政保健師は地域を支えている重大な仕事だと感じています。私が担当として見ていた新生児の子が検診のたびに大きくなっていたり、言葉を話せるようになっていたり成長している姿をみると、いままで私が行ってきたことがすべて報われた気持ちになります。また、赤ちゃんだけでなく、子育ての相談に乗っていたお母さんから「ありがとう」と感謝の気持ちを直接伝えられると、今まで以上に役に立てるようにがんばろうと気合が入ります。」
行政保健師働いて大変だったこと
(40代 男性)
生活習慣に問題を抱える人に対して、変化を促す必要がありました。その人も生活習慣を変える必要があることを理解してはいても、行動に移すことができないでいて、とても大変でした。生活に変化をもたらすためには、能動的に行動を起こすメリットを伝える必要がありますが、それは一人ひとり異なります。そのたびに行動変容をもたらすためのアプローチの難しさに頭を悩ませますね。でもその分、改善に導けたときの喜びはひとしおです。」
よくある質問
- 行政保健師の給料はどのくらいですか?
- 保健師の給料について調査したデータは乏しく、一概に示すことはできません。
ただ看護師とあわせて算出されたデータは存在します。「平成31年地方公務員給与の実態」での看護・保健職の平均の基本給をみてみると、地方公務員の場合は月給約35万という結果数字がでています。 - 行政保健師と産業保健師の違いってなんですか
- 産業保健師が企業勤務なのに対して、行政保健師は行政機関での勤務になります。
行政保健師の場合は、看護師資格と保健師士資格に加えて公務員資格が必要です。
そのため就業する自治体の公務員試験に合格する必要があります。
仕事についてみてみると、産業保健師が企業に所属する職員のために働くのに対して、行政保健師は地域住民のために働きます。
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行政保健師に向いている人・向いていない人
行政保健師に向いている人
「コミュニケーションをとることが好きな人」「信頼感があり親しみやすい人」が行政保健師に向いているでしょう。行政保健師は、老若男女問わず地域住民の方と触れ合う機会が多いため、誰にでも打ち解けてもらえるよう相手の話を聞き、丁寧な回答をする必要があるためです。
また職務上デリケートな相談をされる機会もあるので、相手に安心して相談ができると思ってもらえるように普段の会話から相手を尊重したコミュニケーションをしましょう。
行政保健師に向いていない人
「アドバイスが苦手な人」「勉強が苦になるひと」は行政保健師には向いていないかもしれません。
職務上、行政保健師は人にアドバイスをする機会が多々あります。相手は何かしらの問題を抱えていることが多いため、悩みをくみ取って行動に繋げることが重要です。
そのために相手が納得をするアドバイスができるスキルは行政保健師には欠かせません。
また勉強が苦になる人も行政保健師としてやっていくには難しいと言えます。
行政保健師は、予防医療の専門家であり、地域住民からすればベテランも新人も関係ありません。
地域住民の質問に対して答えられるように、常に情報を最新のものにする必要があります。 -
行政保健師へ転職するための志望動機が思いつきません。どのような内容が好まれますか?
看護師から保健師へ転職する場合は、なぜ看護師ではなく保健師なのかを明確にしましょう。
例えば「予防医療」などは、志望理由として多くの方が挙げるポイントです。
保健師から行政保健師を志す方の中には、地域への貢献を理由とする方も多い傾向にあります。
上記の「なぜ保健師への転職を決めたか」に加え「なぜ行政保健師なのか」「行政保健師として成し遂げたいこと」「将来ビジョン」「なぜこの行政機関か」などを志望動機には記載できるとよいでしょう。
こうした点をしっかりと記載するには、自己理解だけでなく志望する行政機関の情報収集も欠かせません。 -
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この記事の監修・著者プロフィール(株式会社クリエイト Webマーケティング担当)
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